南海トラフ地震関連解説情報(第6号)

2024年8月14日15時30分

 8月8日16時43分頃に日向灘を震源とするマグニチュード7.1(モーメントマグニチュード7.0)の地震が発生しました。この地震の震源付近では、その後も地震活動は活発な状態が続いています。
 8日16時から本日(14日)12時までに南海トラフ地震の想定震源域(8月8日の地震の震源域周辺を含む)で発生した震度1以上を観測した地震の回数(速報値)は次の通りです。
 8日16時から24時まで  8回(震度6弱:1回、震度2:2回、震度1:5回)
 9日00時から24時まで 11回(震度3:1回、震度2:2回、震度1:8回)
10日00時から24時まで  2回(震度2:1回、震度1:1回)
11日00時から24時まで  2回(震度3:1回、震度1:1回)
12日00時から24時まで  1回(震度1:1回)
13日00時から24時まで  0回
14日00時から12時まで  0回

 また、ひずみ観測点では、マグニチュード7.1の地震に伴うステップ状の変化が観測されていますが、地震後に通常みられる変化以外は今のところ観測されていません。紀伊半島及び伊勢湾の深部低周波地震(微動)活動に伴う変化が付近のひずみ計等で観測されていますが、従来からも繰り返し観測されてきた現象です。8月8日21時頃から、日向灘及び九州地方南東沖で浅部超低周波地震を観測しています。この現象は従来からも繰り返し観測されてきた現象ですが、発生頻度・規模等発生様式については今後も観測・研究が必要です。また、8日の地震発生後、宮崎県南部を中心に、地震後の余効変動と考えられる地殻変動を観測しています。余効変動自体はM7クラス以上の地震が発生すると観測されるものですが、今回の余効変動は、そのような地震後に観測される通常の余効変動の範囲内と考えられます。なお、地震直後に余効変動のメカニズムを見極めることは困難であり、ある程度の期間、観測を続ける必要があります。
そのほか、8月5日頃から、紀伊半島沖で地殻変動に起因するとみられる孔内間隙水圧の変化を観測しています。この現象は従来からも繰り返し観測されてきた現象です。
このように、8日の地震の発生後、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていません。

8月8日の地震と南海トラフ地震との関連性について検討した結果、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられたことから、8月8日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。
 政府では、南海トラフ地震防災対策推進地域に対して、8日の地震発生から1週間、日頃からの地震への備えの再確認や、揺れを感じたら直ちに避難できる態勢をとるよう呼びかけています。引き続き、政府や自治体などからの呼びかけ等に応じた防災対応をとってください。
 気象庁では、引き続き注意深く南海トラフ沿いの地殻活動の推移を監視します。

※モーメントマグニチュードは、震源断層のずれの規模を精査して得られるマグニチュードです。気象庁が地震情報等で、お知らせしているマグニチュードとは異なる値になる場合があります。

 今後も、「南海トラフ地震関連解説情報」で地殻活動の状況等を発表します。次回の情報発表は、15日17時00分頃を予定しています。
 なお、新たな変化を観測した場合には随時発表します。


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